2007年9月26日水曜日

セミとり


よく言われるんですよ。
上手に育ててるねとか、いい子をもったねとか……自慢???
この二つの言葉、微妙ですね。
小学校低学年ぐらいまでは「上手に育ててるね」
それ以降は「いい子をもったね」だったように思います。
主体が代わってるんですね。育てたか、育ったか、の違いですね。
わかっていただけますか?
その言葉の変化そのものが私の子育てへの賛辞と解釈しています。
主体は子どもであることを、子育てする親は肝に銘じなければなりません。
育っていく子どものじゃまをしないこと、
これが子育ての極意と考えます。

生まれたての赤ちゃんでも、おちちをのませているときにじっと母の目を見ることがあります。
  A おめめ見えるんやね、おかあさんだよ。
  B 見えてんのかな?目っていつから見えるんやろ?
機嫌のよい顔でうーうーと声を出すこともあります。
  A うーうーお話できるんやね。
  B なんでこんなにうなってるんやろ?
言葉にはできないけれど、「ん、ん。」と一生懸命指差します。
  A ああ、あれは飛行機だよ。どこ行くんかなぁ。
  B なに言うてんの?なんもないやん。
こんなんおった、とダンゴムシやアマガエルをとってくることもあります。
  A わぁ、動いてるね~、丸まるね~、かわいいね~…心中ちょっとつらいけど…
  B 気持ち悪いから早よ捨てい。

あなたはどう反応しますか?
日々の暮らしの中に、こんなシーンがいっぱい。
そのくりかえし、その継続が子育てなのですね。

だから私はどうやって育てたの?と聞かれたとき、こう言うのです。
「子どもと一生懸命遊んだ。たぶんこの町で一番セミとりをした母だと思う。
セミとりには、オクラの入ってる袋でつっくた網が一番ですよ。」
相手はあきれ返って二度と聞いてきません。
でも、このせみとりの中にどれほどの要素が含まれているのか。

セミとりは朝に限ります。午後になると木の高みへ上がってしまうのです。 
   <早寝早起き・規則正しい生活>
子どもだけで神社や公園の木陰など危険と思われるところへ行かせず、必ず付き添う。
   <事故防止・危険回避>
セミとりの後は買い物へ行く。
   <約束の遵守>
採ったせみは必ず逃がす。7年も土の中にいて7日も生きていられないはかない命なのです。
   <いのちの大切さの学習>  ・・・学校みたいですね・・・
かごの中で交尾するセミを見る。
   <性教育の時間>
子どもと集中して遊ぶ時間を作る。
   <メリハリのある生活・計画的な一日の過ごし方を実行する母からの学び>
いい網を持っている子のまねをして網を作る。
セミはいかにすればうまく見つけ、とり、かごの中へ入れることができるかを考え、実行する。
   <自分で工夫できる子>
「親にとってもらう」から「自分でとる」へ。
   <自発的に行動する力の育成>

いろいろ書いていますが、全て後から考えたことです。
たったひとつのセミとりという行動にも、これだけの要素があるのですから、
日々の行動にいかに多彩な要素が含まれるか。
つい軽んじてしまうようなことが、実は非常に大切なことであったと、
後から後悔しないよう、日々の生活を大切にしてください。

次回、いい子とはなにかについて考えます。